2022年4月28日 選ぶ権利と選べる元気

初めてセグウェイた

やば

初めてサブウェイ食べた。

サブウェイ、注文するのめちゃくちゃ緊張した。スタバとか非じゃない。

まず、行ったのが昼時だったからかなり列ができていた。客は10人ぐらいいるけど全員女性。しかもみんな慣れてる感じで、すげー色々喋りながら注文して去ってゆく。

そういった先人たちの姿を見ながら、商品の種類を決める。今回は海老アボカドとチリチキンを頼むことにした。

そしたら、次はパンの種類を決める。これが5種類ぐらいある。そんなになくていい。

パンについては名前を見たところで何も想像できないので、スマホで調べて「ビタミンCが含まれる」と書かれていたウィートにした。ウィートの意味はわからない。

「よし、ウィートだ。ウィート、ウィート」と思っていたら、前方で注文している人がパンの種類を聞かれて「ああ、ホワイトでいいです」と答えていた。どういうことなんだ。「ホワイトでいい」? 私はそもそもパンについて「ホワイト」と思ったことがないが、サブウェイではホワイトのパンが基準ということか? いや、「でいい」という言い方、もしかして他の種類を頼むと店側に何か負担を強いるのか? じゃあ俺のウィートは迷惑? それとも単にこの人にとって諦めの選択肢が「ホワイト」ってこと? いやサブウェイで諦めるって何? 俺より慣れてるくせに何を諦めようとしてんの? なんなんだ? なんだこの人? は? 何こいつ?

でもいい、俺はウィート。ウィートで行く。

それにまだ決めることはある。有料のトッピングの有無、入れる野菜の種類と量、追加の洋風漬け物的な野菜など。
これらについてはそんなに悩むことはない。
「有料のトッピングは無し」「野菜は全部多め、追加でオリーブ」
サブウェイについては、そもそも「野菜を多めにできる場所」という認識しかなかった。俺は食い意地があるので、同じ値段で多く食べられるなら絶対に多く食べたい。これで普通盛りにしたら後悔する。普通は負け。多めしか勝たん。多めが勝つる。

そして最後にドレッシングの種類。
これはもう本当によくわからないので、海老アボカドの方だけ「野菜クリーミードレッシング」にして、チリチキンの方はおまかせにすることにした。チリチキンにかけるドレッシングなんて選ばせてくれなくていい。

以上、俺のはじめてサブウェイセットが完成し、脳内で復唱し続けた。

列が短くなり、直前の人が注文したあたりで咳払いを2回した。できるだけ通る声で、絶対に噛まずに注文したいからだ。
でも咳払いをしたらしたで「こいつサブウェイで注文する前に喉の調子整えてるよ」と思われているんだろうな、と感じて嫌だった。
全員一旦帰れ。おにぎりを食べてなさい。

そんな葛藤とともに俺の番を迎えた。

「ご注文どうぞー」

「海老アボカドとチリチキンで」

「パンの種類は?」

「どっちも、ウィートで」

「パンは焼きますか?」

「ああ……」

ああ、である。
パンが焼けることを忘れていた。私は、パンを焼くかどうかを決めていない。いま決断しなくてはいけない。

パン、ウィート、焼く、焼かない、焼いたら美味いんだろうな、香ばしい匂いで、カリッとザクッとした食感のなかにしっとりした海老やチキンがあって、ああ絶対に焼いた方が美味そうだ、美味そうだけど、焼いたら時間かかるだろうし、後ろの人に迷惑かもしれないし、お腹すいたからすぐ食べたいし、てか今お昼休憩中だから早めに戻りたいし、シンプルにさっさとここを出たいし、すいません、本当は焼きたいんですけどやめておきます、今度焼かせてください。焼いたパンの美味さを想像できないバカじゃないんです。想像したうえで泣く泣く、の人です。すいません、よろしくお願いします。本当に、お願いします。

「焼かないでいいです」

「はーい」

悔しい。こうして、柔らかく冷たいサンドイッチが2つ完成した。

海老アボカド
チリチキン

味はうまかった。高いか安いかで言うと、高い。
でも今日はなんか会社のお金で食える感じだったので2つ食べた。こういう機会でいろいろ食べたことのないものを食べるのが楽しい。

あと、今は「ホワイトでいいです」の気持ちがわかる。あの人、きっとブチ切れてたんだ。

「こんだけ選択肢増やして、サンドイッチひとつ頼むために何往復も会話して、パンの種類ぐらいテメェで考えろ」の気持ちが「ホワイトでいいです」だったんだ。なるほどなあ、疲れてたんだ。

夜。昨日作った豚汁を食べた。味が全体的に馴染んでうまい。具も全部同じ色になってやがる。

ゴボウや大根やキャベツがうますぎて、もはや豚いらない気がしてきた。そんなことないのかな。そんなことないか。食べ応えとか絶対違うしな。ごめん。

ごめん。

ごめーん。

はいごめん。ごめんごめん。

俺ずっとフチが欠けた丼使ってるな。

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