2022年7月26日 風に誘われて

先日、ヤマザキショップに行き「終売ですね」と言われた、カステラ風蒸しパン。

同シリーズの熟成厚焼きたまご風蒸しパンは依然販売されているので、それを食べてはまだ見ぬ味を想像したカステラ風蒸しパン。

それが、ついに……!

 

 

——————7月26日 朝。

会社に着き、スマホを開くとダ・ヴィンチ・恐山さんからの連絡があった。恐山さんといえば、東京を縦横無尽に駆け回りカステラ風蒸しパンを入手したお方だ。

なんと連絡の内容は「カステラ風蒸しパンの販売を観測した店の特徴」であった。先人の叡智。今の私にとってこれ以上にありがたい情報は無い。
しかし私は既にヤマザキ傘下のヤマザキショップ店員から「終売ですね」と告げられている。
恐山さんからの詳報を受け、素直に喜んでいいのか分からなかった。

ただ、カステラ風蒸しパンが存在する可能性がわずかにでもあるというのなら、それに賭けて行動するしかない。

 

会社での会議を終えた私は、昼休憩として会社を飛び出し、駅まで走り続けて電車に駆け込んだ。条件に該当する店舗へ行くには、鉄道を使わなければいけないのだ。
昼休憩で電車に乗るのは初めてだった。もちろん夜まで待つことなど不可能だった。

乗り換え以外で使ったことのない駅で降り、目的地までも小走りで進む。
電車に乗っている間にGoogleマップで何度も確認したルートを忠実になぞり、迷うことなく店に着いた。

入ると、奥へ細長く伸びる店内。その突き当たりの手前に、いかにもパン類が置かれていそうな棚の気配が窺えた。

すでに大興奮しつつも、早歩きの速度を常識的な範囲に抑えながら進むと……

 

 

あった。

これこそがカステラ風蒸しパンである。

まだ、この世にあったんだ……。

 

ともあれ、おかげさまで入手しました。
ありがとうございます。

「終売ですね」の真相は謎となったが、とりあえずヤマザキショップでの注文は不可能でもまだ流通している可能性があるということだ。先日の私の日記を読んだことによって探索を諦めてしまった人がいたら申し訳ない。改めて希望を持ってほしい。

帰宅後、食べることにした。

 

念押しのカステラ風蒸しパンである。

持った感触がすでに熟成厚焼きたまご風蒸しパンと全く異なる。ふわふわというかほにゃほにゃというか、優しく触ってあげなきゃという気持ちになる。
力が加わると簡単に形を変えてしまうので、緊張感が生まれる。

こうして並べると、厚焼きたまご風のパーンと張った様子が分かる。対してカステラ風は、帰宅までの間に多少のダメージを受けてへこんでしまい、ラップが少し浮くような状態。

カステラ風蒸しパンの購入者たちがネットに投稿する写真を見ていると、どれも「雑に扱いすぎだろ」と言いたくなるような凹み具合となっていたのだが、自分で手に取ってみると否応無しにそうなってしまうことがよく分かった。

 

台紙を剥くと、生地が残る。
これは厚焼きたまご風の方には無い特徴だ。あちらはどんな油の使い方をしているのか分からないが、とにかくツルンと剥がれる。

カステラといえば茶色の濃い部分が台紙に残ってしまうもどかしさが印象的だ。それをも再現するレベルの「カステラ風」なのかと感心した。

 

味は、うまい。これはたしかにカステラ風蒸しパンとしか言えない。カステラよりもしっとりふわふわとし、一方でカステラ特有の押し付けがましい香りの強さは無い。でも全体的にはカステラのような味。そして「結論、これは何か」と聞かれたら「蒸しパン」と答えるしかない食感。カステラのような味だけど、あくまでカステラ「風」なのだ。
それにしても食べやすくてうまい。実家の祖父に勧めたい味だ。

試しに厚焼きたまご風も連続で食べてみた。
比べてみると驚くほど違う。こちらはブリンブリンと噛み応えがあり、しょっぱい風味すら感じる。

「そういや厚焼きたまごって甘味じゃなくてごはんのおかずじゃねえか」と思い、原材料一覧を見ると案の定「醤油」が入っていた。もちろんこれはカステラ風には入っていない。
そしてカステラ風の方には、厚焼きたまご風に入っていない「蜂蜜」が含まれていた。
見た目の区別は難しいが、食べれば全く別の蒸しパンなのである。

 

皆さんもぜひ、2種類食べ比べてみるのをおすすめします。どっちが好きかは大きく好みに依ると思う。ていうか冷静に考えると厚焼きたまご風の方が邪道な味だと思うけどな。どうしてそちらの方が多く流通しているのか。

在庫状況について、もう私から具体的なことは言えないが、あるところにはまだあるかもしれない。諦めるのは少し早い。
興味があれば、後悔しないうちに足を使うべし。

ボンボヤージュ。

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