「猫」カテゴリーアーカイブ

2023年1月22日 実家の真価

自販機にあったナタデココジュース。
おそらく特別な色で強調されていたであろう濁点が日に焼けて消えていた。

週末私は実家にいたのだが、今日は猫が避妊手術をするため朝から夕方まで動物病院に預けっぱなしとなっており、その間の実家の価値が半減していた。
数ヶ月前までいなかった動物がこれほど私の心を動かすなんてすごい。

夕方、手術を終えてちんちくりんな専用着を身にまとった猫が帰ってきた。行動の制限などは無いようなので自由に歩かせてみたところ、まだ麻酔が残っているようで、ぼんやりふらふらとしている。何歩か歩いては意図せずころんと転がっていた。しかし家に帰ってきた安堵と興奮により「動き回りたい」という気概だけはたしかに見せており、危なっかしいので移動用のケージにしばらく入れておいた。出せ出せとアピールしていたが、やむなし。

少し経ち、帰宅の興奮も冷めたようなのでケージから出し、人間の股ぐらに座らせ、こたつ布団をぽさっと被せたらそのまま寝た。

動物病院では、よそのブルドッグに対してブチ切れていたらしい。そのブルは何もしていないのに。帰宅後の態度も含め、図太い猫だなと思った。

来週、大寒波が日本を襲うらしい。
でも東京は雪が降らないらしい。

つまんなくて、寒い週が来る。

2022年11月10日 なぜ覆水は盆に返らぬ

食事の用意をしている際、カーペットの上にあるテーブルで飲むヨーグルトのボトルを倒してしまい、

あーーーーー!!!!!!!

と叫んだ。これはもうハッキリ叫んだ。
そして拭いた。飛び散ってたからいろんなものも濡れた。パソコンも電波時計も濡れた。
本当にいいことが一つもない事件だった。

こういう取り返しのつかないことをしてしまうと、なんだか不思議な気持ちになる。どうして取り返しがつかないんだろうって。

さっきまでボトルの中にあって、そのままコップに注いで飲めば何も汚れず喉も潤って栄養も摂取できたのに、こぼしてしまったせいでその全てが失われて、物は汚れて臭くなりティッシュは消費され食べ物は冷めてしまう。

この大きすぎる幸不幸の落差が、たった一回の「こぼし」というミスによってのみ生じ、しかもリカバーできないのはなぜだろう。本当は何かまるっと解決する手段が残されているんじゃないかといつも思う。

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紙切れ投擲機構

猫とコミュニケーションをとれるようになってきて嬉しい。
名前を呼べば反応するし、向こうも私を呼ぶように鳴く。

かつては私のことを人と思っていないような、もはや掃除機に対して見せる警戒と同様の態度で接せられることもあったが、もうだいぶ人対猫のやりとりが成り立っていると感じる。

猫は細長いものが好きで、最近は封筒の端を切ったような紙切れを気に入っている。これはただの紙なので、もちろん勝手に動いたりはしない。だから我々人間が拾ってポイと放り投げると、お気に入りアイテムが動きを与えられた様子に猫は大興奮し、夢中で捕まえにいく。

猫としてもこのシステムを学習したようなのだ。私があぐらをかきながらぼんやりとテレビを見ていると、猫は私の左膝あたりに紙切れを置き「投げてください」という感じでたたずむ。このとき猫は決して「投げろ」といった横柄な態度をとらず、「よかったら投げてくれませんか?」と謙虚な表情で待っている。これがコミュニケーションとして健全に感じ、快い。

おお、猫からのリクエストだ、と感動しつつ紙切れを投げると、猫は直ちに飛びつき、再び持ってくる。その繰り返しを何分間か続けると、猫は満足してどこかへ行く。役目を終えた私は少し姿勢を崩し、再びテレビを見る。

家に猫がいるなあ、と思う。