電車に乗ったら、隣に立っている人がオモコロライターだった。
ただ、私は乗ってすぐ気付いたわけではなく、ある程度同じ空間にいてから気付いたため、もはや自然に声をかけることもできず、結局私の方が先に目的地に着き、黙って下車した。向こうは最後まで気づいていなかったと思う。
今日はこのことをずっと考えていた。もし話しかけてもお互いにライターネームだから、周りからは「変な名前の奴ら……」と思われたんだろうな、とか。
ネットつながりの交友関係だとHNで呼ぶのは普通だから慣れてしまっているのだが、やはり客観的にはおかしいはずだ。もし他人の会話で「あれ?消防車さんじゃないですか!」「おー!カミキリムシさん!」とか呼び合ってる人いたら見ちゃうもんな。
いかにもオタクのオフ会みたいな集団の会話を盗み聞くのは好きだ。こないだは電車にいた女子軍団がBL同人誌に関する話題で静かに盛り上がっていて、その「知らなさ」に聞き入ってしまった。これは恐らく当人たちも「他人には理解されないだろう」と思っているからこその面白さがある。話題がもっと一般的で、詳細を知らなくても大意を理解しえる内容だとしたら、当人らの心中に「周囲に漏れ聞こえる自分らの会話は他者にとっても面白いのではないか?」という高慢が生じている可能性があり、冷める。他人に聞こえることをよしとしている者の会話は腐っている。
彼岸花。
栗。