『北北西に曇と征け』という漫画の単行本を5巻まで読んでいる。
主にアイスランドが舞台となり、居候しながら探偵業で食費を稼ぐ日本人青年が主人公だ。彼の家族や友人、探偵の依頼などを発端に事件は起こるが、話のテーマは事件に限らない。舞台となるアイスランドの風土そのものが主役となり、それを人物たちが感じる、という話も多い。それがこの漫画の楽しいところだ。
もちろん、その土地を人物たちがどのように感じるかというところでキャラクターが表現されもするのだが、描かれている雄大な土地の印象がどうしても目立つ。私は、あらゆる土地を見たり感じたりそこにいたりするのが好きだ。そしてその場にはできるだけ他の人がいてほしくない。この漫画を読むと、人がほぼいない(容易には居られない)大きな空間を感じることができる。だから楽しい。
ちなみにタイトルの読み方は、ずっと「北北西にどんとゆけ」だと思っていたが、どうやら「北北西にくもとゆけ」であるようだ。3巻を買ったときに気づいたが、未だに脳内で訂正できていない。この漫画の話を口頭で誰かにすることがほぼないので、そういう機会で実際に口を動かして繰り返し語っていくことで「くもとゆけ」に慣れることができると思う。
そしてこの漫画、アンケート用のハガキが付録されているのだが、そこにも作者のオリジナリティやホスピタリティが表れており、もったいなくて投函できないよと思ってしまう。たぶん読者はみんな思っている。でもここまで素敵なハガキを用意してくれているなら、むしろしっかり応えて感想を伝えるべきかとも思う。
時間はあるし、出してみようかしら……。