2023年8月25日 鞍上の蟠桃

朝から晩までたくさん食べた。とうもろこしごはんがうまい。

恐山さんに蟠桃をいただいた。蟠桃たべたいな〜と思っていて、Twitterでタレコミをいただいたり調べたりしつつ情報共有していたところ、ちょうど頃合いのものを入手したとのことで分けてくださった。部長……。

桃ではあるのだが、我々の見慣れた球体ではない。「フラットピーチ」と呼ばれることもあるらしい。中国原産で、ヨーロッパではベーシックな桃だとか。

それにしても変な形だ。

どこが正面なのか、どちらが上なのか、下なのか、見定めにくい。

不思議な見た目で、くるくると回してしまう。「この角度は見たっけ?」という感じで。

これは、ゆるやかな「く」の字が二つ組み合わさっているような形だ。

より詳細に言うと、丸みを帯びた四面体をベースとして、ねじれの位置にある二辺の中心近くを各辺の垂直方向に削ったような形である。説明はこれで間違っていないと思うけど想像は難しかろう。

極端な図にするとこういう感じ。右の面を広く見せようと思ったら奥の面が引き伸ばされてしまったが。

切り方がよく分からず、とりあえず半分に切って捻った。種の形質や種離れの具合は普通の桃と変わらない。

こんな形だから癖のある味かと思っていたが、ちゃんとうまい。甘みも香りも強く、上品だ。ヨーロッパの大衆的なフルーツにしてはまともにうまい。失礼な見当だが、もっと雑な味を雑に食べているものかと思っていた。(しかしこれは定価2個1600円だったというから、蟠桃の中でも相当いいものだと思う……。もしかしたら西欧人もこんなうまい蟠桃は食べたことないかもしれない。これが通常だったら少しジェラシー)

楽しみで急いて食べてしまったため部分的に熟しきっていない部分もあったが、それはそれでさわやかさのグラデーションを楽しめた。洋梨のような清涼感。総じて期待を遥かに超える良い果物だった。何度でも食べたい。

ヨーロッパの人々は、日本の丸い桃を見てどう思うんだろうか。丸すぎて怪しんだりするかな。

例えば、マンボウのようなフォルムの魚ばかりを常食している民族がいたら、アジやサンマのような魚を見て「変な形。細くてまずそう」と思うかもしれない。桃の丸さが同様の印象を与えても不思議はない。

「桃尻」という言葉は「馬の鞍に乗っても安定しない様子」を指すが、これは完全に日本の桃を前提とした表現である。もし蟠桃だったら全果物の中でもトップレベルの収まりを見せるだろう。そもそも蟠桃自体が鞍のような形をしている。

桃太郎が蟠桃から生まれてくるとしたら道中で腰を悪くしそうだ。中にいるのでなく、上に乗ってきた方がいいだろうな。老夫婦にとってはネタバレになってしまうが。

タイトルとURLをコピーしました